真実は泡になる

USG にじさんじ 等々

ROF-MAO「Challengers」の感想を殴り書きさせてください

私の推しVtuber、加賀美ハヤトさん属するユニット "ROF-MAO" の新曲が公開されました。私は今興奮のままにこれを書き殴っています。

 

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10月発売の1stフルアルバム収録に先立って公開された曲なので興味を持たれた方は是非10月発売のアルバムもチェックしてほしいです。なぜならROF-MAOのアルバムはさまざまな方向から強すぎる楽曲が飛んでくるので… (1st EPの「Cruck Up!!!!」の楽曲提供陣を見ていただければ楽曲オタクの方はだいたい理解できると思います。アニソン界隈からバンド界隈、ニコニコ界隈まで幅広い製作陣を連れてくるのがROF-MAO楽曲の特徴とも言えるのですが、Q-Mhzにsyudouさんにヒャダインさんに首藤義勝さんに…かなり豪華な顔ぶれです。)

ブログは書くのに時間がかかるために感想が新鮮ではなくなりがちなので、今回はこの新鮮な興奮を文字に残すため新曲公開直後の今の感想を殴り書きさせていただきます。そのためパート分けなど情報が正確でない可能性がある点ご了承ください。

また、私はROF-MAOをユニットとして応援しており、4人とも好きなメンバーですが、加賀美さん単推しで普段活動を追っているのも加賀美さんのみであるため、他メンバーと加賀美さんについて知っている/言及できる情報量が著しく異なる点をご理解いただけると幸いです。

 

爽やかかつ今までのROF-MAOにはない系統

※この節だけ異常に長くて脱線が多いです。

ROF-MAOはこの2年弱の活動の中で8曲(ボーナストラック枠の「むじんとうのうた」「のうぎょうのうた」を除く)リリースしてきており、そこまで膨大な曲数ではないのでまだ被りを避けるのも容易ではあるのですが、爽やかなロック調だと「New street, New world」「ラックハック」「知っている手紙」が挙げられる中、この3つのどれにも似ていない感触のロック調になっています。

曲説明には「ハードなロックサウンド」とあるのですが、サビのfuturebass的なアプローチやAメロのsynth popっぽい電子ドラム音などが合わさり、様々なジャンルがミックスされていて楽しい。(あとどこかでめちゃくちゃ低いsubbass音が鳴っててびっくりした。ロックサウンドの曲でなかなか鳴らないはずの音がする。)

そんな中で私が感じたのは、K-POPの日本向け曲っぽさでした。

基本的に私はK-POPオタクをしていた時代から日本向け楽曲の"韓国語で作られた曲に無理やり日本語を当てはめた感"がどうにも受け付けなかったのですが、その中にもK-POP感と日本のアイドルポップスらしさがミックスされている良い曲もかなりの数ありました

それらに近いバイブスを感じたのは先述のfuturebass的アプローチが一時期K-POPで流行していたタイプのものに近いことと、ラップパート(この曲だと2番Aメロ)が要因かもしれません。

[MV]SEVENTEEN - Happy Ending MV - YouTube

↑サビのfuturebass的アプローチはこの曲っぽい。

[MV] PENTAGON(펜타곤) _ Like This - YouTube

↑日本向けではありませんが、K-POPで流行したタイプのfuturebassは主にこんな感じでした。その中でも特に好きなもの。

PENTAGON - 「COSMO」MUSIC VIDEO - YouTube

↑PENTAGONの日本語曲且つfuturebassっぽい曲だと「COSMO」もおすすめです。(COSMOの楽曲提供はGLAYのTERUさん。)この曲は透明感もさることながら色んなジャンルの混ざった感じが楽しくて大好き。

ROF-MAOはその爽やかでカッコいい男性が4人揃った圧巻のビジュアルや、楽曲の爽やかさやポップさからアイドルらしい印象を受けますが、公式も「Vtuberユニット」と称していますし、何よりも"媚び"を嫌う剣持さんは結成時「アイドル売りをしようとしたものから消していく」と発言する、アイドル呼ばわりされた暁には大暴れしまくるなどの尖りようです。

なのでROF-MAOをアイドルと扱わないのが界隈の暗黙の了解ではあるのですが、私としては、公式の売り出し方はアイドルっぽい楽曲+TVバラエティっぽい公式番組+Vtuberらしさを混ぜたものがROF-MAOのブランディングだと踏んでいます。なので様々な文化からの文脈が混ざり発展している最中のVtuberらしいユニットであり、公式の「Vtuberユニット」という称し方はROF-MAOをそっくり体現しているようでしっくりきます。

とはいえ、楽曲はどうしてもアイドルらしいものがほとんどで、今回のChallengerもアイドルポップスっぽい仕上がりです。アイドルじゃないのにまたアイドルっぽいことしてる〜!と突っ込むのもまたROF-MAOの楽しい追いかけ方かもしれません。

 

剣持刀也さんの歌のクオリティが爆上がりしている

歌ってみた動画のほとんどがコラボ、歌枠を3年ほどとっていないなど活動における歌の比率は控えめながら、確かな歌の実力を持ち、3Dライブ常連で、趣味全開なオリジナル曲も複数リリースしており、ROF-MAOでもメインボーカル的立ち位置な加賀美さん。

普段の天然全開な姿とはまた違うダークな魅力とセクシーな歌声をオリジナル曲や歌動画で披露してくれる不破さん。

にじさんじ内でも歌枠や歌動画、オリジナル曲リリースの頻度がトップクラスで高く、作詞作曲やギター弾き語りもこなす甲斐田さん。

そんな3人と比べると、剣持さんは4人の中で最も歌をメインとしない活動をしています。3Dライブイベントにはよく出演するもののソロの歌ってみた動画は5年半弱の活動の中でファンソング「Sharpness...」のカバーのみで歌枠は滅多にせず、メイン活動はゲーム配信と雑談。(ちなみにその唯一のソロ歌ってみたも現在は非公開です)

ソロイベントも歌よりも劇やミニコーナーがメインになっていたようです。

本人もあまり歌に自信がある方ではないようでしたが、ROF-MAOきっかけかボイトレに通っているようで、それを裏付けるようにどんどん歌のクオリティを上げています。

活動初期の歌枠やコラボ歌ってみたと、ROF-MAO初オリジナル曲の「New street, New world」を比較しただけでも実力の変化がわかりやすいのですが、なんだか3Dライブやオリジナル曲リリースがある度に「また歌上手くなってる?!」と驚いている気がします。

今年4月にあった不破さんの新3Dモデルお披露目配信での「イケナイ太陽」カバーでは歌声に厚みが増し、さらにはがなりまで入れてきて本当にびっくりしました。(初期と比べるとなんとなく加賀美さんの歌い方に近づいている気がする。そう考えるとROF-MAOの歌声ってかがみもち/アニコブに二分できる気がしますね…)

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今回のChallengersでもわかるように声に力強さが増していますが、「塞がなくていいんだよ 僕らは独りじゃない」パートではかなり心にくるしっとりとした歌い方もしているなど、歌声の引き出しが増えているように感じます。オタクが第三者の立場からなに偉そうなこと言ってるんだという感じで非常に申し訳ないのですが…

剣持さんの歌に関しては、元々は優しいパートを歌わせるとびっくりするほど化けるという印象だったのですが、歌声が厚くなり力強さが増したことにより、しっとりしたパートとの差がさらにハッキリついた気がします。

ちなみに「知っている手紙」を初めて聴いた時、「そう うつむいたって良いんだって気持ちは忘れないで」パートではかなり衝撃を受けました。普段シニカルなジョークや暴言を吐いたり尖って暴れまくっている姿とのギャップでかなりドキッとしてしまった…

 

ROF-MAOの音源では初、加賀美ハヤトさんのデスボイス

※推しメンについての節なので本当に長いです。

加賀美さんはハードロック・ラウドロックオルタナティブロックを好んで聴き、オリジナル曲もほとんどが激しいものとなっています。にじさんじ内でも歌を得意とするライバーさんは多くいますが、その中でもシャウトやデスボイスを出せるライバーさんは珍しいため(現在は不破さん、Ikeさん、渡会さんと増えましたがデビュー当時の2019年7月だと加賀美さんが確か初でした)より特異な存在感を放っており、加賀美さんのアイデンティティのひとつであるとも言えます。

そんな中でも、加賀美さんはROF-MAOの楽曲ではデスボイスをはじめとして個性的な歌い方をフルで使うことはなかったように思います。

ビジュアル系を彷彿とさせる、音程の上下が激しい歌い方(1音目を跳ね上げる感じ)や、語尾を下げるようなセクシーな歌い方も加賀美さんの歌の特徴として挙げられると思うのですが、他の場で聴ける個性的な歌い方は調和を重視してかROF-MAOでは封印されてきました。

(それでもあの力強い歌声が聴こえると一瞬で社長だ!とわかるので社長は本当にすごい。)

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↑「加賀美ハヤト」を象徴するWITHIN。V系っぽい歌唱法にデスボに盛りだくさん。作詞も手がけたこの曲には加賀美さんのブランディングと意思が全て詰まっているように感じられます。

もちろん加賀美さんの性として封印しきれなかったのか、昨年7月の「Aim Higher」の時に披露したLet's get party started!ではしれっと「歓声\キャー!/」に紛れてシャウトしていました。1人だけ歓声どころか魂の叫びがおる。

なのでずっと封印し続けるわけではないんだろうなとは思っていましたが、特にシャウトしなさそうなChallengersでギターサウンドと同化するくらいの音量でシャウトし始めたのでびっくりしました。

とはいえ曲中でもギターサウンドが轟音で鳴っているパート且つ他メンバーが複数人で歌っている部分の後ろで遠く叫んでいる感じなので浮いている感じもなく、むしろ社長が叫んだ瞬間に爽やかに感じられたサウンドが重く尖ったものに聴こえるのがすごい。特にバックの音増えてないのに。

 

より個性が際立った4人の歌声

さきほど剣持さんと加賀美さんの歌について長文を綴ったためなんとなく偏りがすごくなってしまいましたが、不破さんと甲斐田さんの歌声も語らずにはいられません

この2人は似た声質を持っているように聞こえますし、個人的にはこの2人が「ROF-MAOの平均声」だと思っています。他3人と違う声質を持った剣持さんや飛び抜けたパワーボイスをぶっ込んでくる加賀美さんのパートの後にこの2人のパートが来るとROF-MAOらしさをストレートに感じる。

もちろん似た声とはいえ本質は違っており、細かい表現にはそれぞれの個性が表れています。不破さんは色気を、甲斐田さんは今にも消えてしまいそうな儚さを滲ませるのが本当に上手だと思う。不破さんはI wanna! You wanna!のような元気な曲ではバーチャルホストらしくキザさ全開で歌ってくるのですがそっちも大好き。

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↑Aim Higherではバク転をかました伝説の曲。KEYTALK首藤義勝さん提供のノリノリダンスロックです。イベントで披露されると多幸感がマシマシになる。

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↑ROF-MAOは基本的にポップだったり明るい曲がほとんどなので、是非不破さんのオリジナル曲やソロ歌ってみたを聴いて温度差に驚いてほしい。

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↑甲斐田さんはソロとROF-MAOで特に曲内で見せる表情が変わることはないのでギャップで風邪を引くことなく楽しめますが、私はどうしても甲斐田さんの泣きそうな儚い歌い方に弱い…

歌のクオリティをびっくりする速度で上げてきた剣持さん、にじさんじ内でも歌を得意として活動してきた中でさらに表現を強めてきた加賀美さん、不破さん、甲斐田さん。曲中で4人が生きているように感じられるのはリアルタイムで更新され続けるコンテンツならでは。

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私は「個性のばらつきのオタク」を自称しています。にじさんじをはじめとするVtuberにハマったきっかけも、それぞれ違うルーツや世界観を持つ個性がバラバラのVtuber/バーチャルライバーたちが同じフィールドの下で共存し、関わり、新しい出来事をリアルタイムで作っていくドラマチックさに惹かれたからでした。ROF-MAOもそれぞれ違う活動スタイルを持ち、性格も好みもバラバラな4人がスタッフから突きつけられる過酷なロケ・企画をなんとかこなしていき、楽曲やそれを披露するライブの場では4人で非常にクオリティの高い歌を披露してくれます。

普段は剣持さんが中指を立てたり暴言を吐いたり甲斐田さんや加賀美さんがいじられたり不破さんがいつも通りの天然を発動し場の流れを一瞬止めるなど、めちゃくちゃなやりとりをしあっている4人ですが、剣持さんがテレビジョンのインタビューで言っていた通り"同じ方向を向いて"エモくてかっこいい曲を歌っているこの事実が最高だなぁと楽曲が公開されるたびに思うのです。

 

ここまでオタクの感想殴り書きでした。歌詞の温度感的にもかなり大事な役割を担っていきそうなChallengers。この曲を、約2年活動してきたROF-MAOの現在地を示す、ROF-MAOにおける新たな定番曲として私は受け取りました。今後も発展し、良くも悪くも変わっていく点で不安定な足場のVtuberというフィールドにおいて、アイドルではないユニットというアイデンティティを確立し続けるための新たなアプローチをしていくROF-MAOを、これからも追っていけたら面白いなと思います。